断捨離をしようとしたわけではなく、引越しを想定して持ち物の整理を行なっている。
私が手放すものは古くなったから買い換えるもの。それからもう必要ないもの、それに細々したなんやかや。
この世には、と言うか私の部屋にはいらないものが割とたくさんあった。対象物を手に取って、それにまつわる思い出なんてものが手の平から湧き上がってくる。それがニヤニヤしちゃう思い出の時もあるし、切ない時だってある。それから、本当になんの意味も見出せないこともある。乾いた気持ちでゴミ袋に入って行ってもう、戻ることはない。
手動のシュレッダーで45Lのゴミ袋2つ分の書類を裁断して、腕がもげそうだ。給与明細を入社した頃の驚くほどの安月給の頃から最近の安月給まで裁断しながら、無意識に転職を夢想していた。でも今はその時ではない。シュレッダーをしてゴミ袋を放り出すことだけに専念した。
箱の中にはまだ、手放していないCDがある。もう基本的に聴かないし、いらないものだけをピックアップして放り込んだ。曲にも思い入れがあるものだ。本もCDもいらないと判断したものは箱に詰めて送ることにした。
なんだかスカスカのキャビネットやクローゼットを見て、スッキリした気分になった。
私はよく朝寝坊の時に見る、クローゼットの前に立ち、今日は何を着ようかな?と思いながらびっしり着たい服ばっかりのクローゼットを眺める夢を見る。
ハッと我に帰ると二度寝していて、私のクローゼットなんて一応の服は入っているものの、着ていくものが何もない。毎朝絶望の淵に立っている。壊滅的な有様。
私にとっては買い物は修行となることも多いので、そんなにたくさん服を買うことはない。でも一応仕事をしているので服を季節に合わせて買わなきゃやっていけないのである。
ジャケットのインナーに着るのに最適。とか思って、ちっとも好きではないアホみたいなカットソーを買う気分がどれほど憂鬱か、想像がつくだろう。
そうやって服を買うことから喜びを手放していく。誰の金で買うと思ってんだろう。アホらしい。
最近、BANANA FISHというアニメをみた。ギャングとマフィアの抗争、国家と軍の陰謀にドラッグが関わっていて、住む世界の違う少年たちの友情の話だ。AKIRAにも少し通じるかもしれない。
舞台はNYで、アメリカ人の少年アッシュの周りにいる大人は大抵、巨大な権力を持った小児性愛者の変態で、日本の一般的な中流家庭に育った少年エイジとの友情に助けを求めている。それくらい救いようのない悲しい生い立ちの話だったりする。
原作は結構昔の少女漫画らしいが、読んだことはない。でもアニメはそんなに昔に作られたものではなさそうだった。スマホとかタブレットを駆使しているシーンがあるから。
アッシュはギャングのボスで、いいこに育ったエイジが彼の孤独を癒しているというもの。友情であるものの、自分にだけ心を許す、という行がおそらくいいのだろうなと思う。
アニメは最後まで見たのだが、もの哀しい話。ギャングやマフィアの映画にも共通するが、いつも哀しい終わりを迎える。犯罪に手を染めた人間がハッピーエンドを迎えることは、あまりよくないのだろう。本当は最後には幸せな人生だったとにっこり笑って目を閉じる人間だっているのだろうけど。
私が一番嫌いなGWが終わろうとしている。なぜ嫌いかは、世間の連休と天気に恵まれ人混みが増大し、仕事が非常に忙しくなるからだ。それに繁忙期にあたるし、その上月初でもある。変な曜日合わせの時もあるし、とにかく忙しいので、GWは毎年憂鬱だった。今年はコロナの影響で例年のような事態にはならず、心穏やかに過ごした。
こんなGWは学生以来だと思う。本来大好きな5月だが、GWのせいでいつもぶち壊しだった。でも今年は状況が違う。精神衛生上私は快適に過ごせたのだ。私にとっては人のいない街はそれほど苦痛ではない。少なくとも今の私にとって。だけど。
現実逃避に映画を見たり、アニメを見て詳しくなった気になっている。と言っても見たアニメは鬼滅の刃とバナナフィッシュだけだけど。でもともかく強い人間が困難に立ち向かい更に強くなって友情を育み、大切なものを守るという、少年漫画の鉄板みたいなものは、ともかく気分がいい。
現実逃避にうってつけだ。