ボルタンスキー展

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ある時、先日のことだけれども、いつものようにヘアサロンへ行った。私は毛先がザラザラするのが嫌で、トリートメントを割とちゃんとしに行く。


そこで、国立国際美術館のパンフレットが置いてあって、life timeと書いてあり、クリスチャンボルタンスキーの文字と、宝石のような写真が見えた。


夜まで時間があったので、トリートメント終わりのサラッサラの髪で国立国際美術館の展示を検索して、中之島へ向かった。

私が宝石の写真だと思ったのは、電球だった。



最近の私は、開いていると思う。

マヒトゥザピーポーの新譜を聴き続けているせいでもあるし、なんとなくの周期のせいかもしれない。ハバナイ!のライヴ音源を聴いて何かたぎらせて歩いていた。


ボルタンスキーなんて初めて知った。最初の部屋は引き出しに入った気持ちの悪いものと、怖いもの、それと、咳をする男の映像。心臓の鼓動。咳をする男は映像作品で、血を吐くようなひどい咳をする1人の男と、その音をヘッドフォンで聴く。

聴けない、耳に当てたが、速攻で外した。こわくて見ることができない。引き出しの中のグロテスクななんかと、怖いミニチュアのようなもの。暗くて怖いし、すぐに次の部屋へ。


私はヒリヒリするようなものと、人の死を予感させるものが本当に苦手だ。

次の部屋は、アトリエらしき部屋、書斎、オフィスのようなところの監視カメラを流している。作品が出来上がる風景や、誰かと一緒にいたり、1人でいたり。

祭壇のような写真とブリキ缶、彩る電球。自分の中を何かが通り過ぎるような不思議な感覚になって、なんだか泣けてきた。


それもこれも、私が今、開いた状態にあるからだと思う。シフォンのような軽くて薄い布にプリントされた顔。天井から吊るされたその布たちがゆらゆら揺れる中で、電球がいくつか光っている。


写真を祭壇のように飾り、電球で飾る。

その部屋の外にはキラキラ光る海と、風鈴たなびく海。または雪景色。クジラの鳴き声。広い世界、後ろ暗い歴史、生と死。いつか人は死ぬ。そう思うし、間違いない。

でもリアルに人の死に触れたくはない。いつも遠くにあるイメージであってほしい。そんなのは無理だけど。


めちゃくちゃ感動的だったのだと思う。感動した!みたいな感覚ではないが、胸の詰まる感覚、こみ上げる何か。込み上げてくるこのものの名前がよくわからない。


胸のうちに、増えて溢れ出るような、胸の中張り裂けそうな湧き上がるこれには、なんか名前がついているのかな。


胸いっぱいになる時の、胸の中には何が詰まっているんだろうね。