春の夜歩く


夜歩く君と、工場の脇の道を…云々


桜の咲く頃に、夜歩くと思い出す。曲はほとんど覚えていないけど、言葉はポツポツと。


私は急性胃腸炎を繰り返して、これまで体重を維持してきたのだが、前の彼とお別れしてから、急性胃腸炎地獄から脱出した。ほんとに急に、胃腸炎にならなくなった。


風邪もひかなくなったし、体調不良の割合が減った。なぜかはわかるようなわからないようなだが、よいことだなと改めて思う。

健康が1番。そのせいで、少し太ってしまったのだが、副産物で胸が大きくなった。まぁ、これから夏に向かうので、少し絞ろうと考えている。考えているだけ。仕事が忙しすぎて日々ヘトヘトなので、気力も体力もない。


君の目だけ銀色で、その銀色が言う。もし私が死んで幽霊になってしまったら、こんな夜の闇はもう、怖く無いのかしら。

だったかな。


私は夜が怖い。暗いところがこわい。1人で暗いところに行くことができない。もう大人なんだけど、怖いものがたくさんある。人がいれば大丈夫。ホラー映画では数多くの人間がいれば、幽霊だって晴れがましいからか、出てこないでしょう。


ゾンビと虫は人がどんなにいたって出て来るけれど。虫が潜んでそうな場所と、ゾンビが飛び出てくる場所は似通っている。どっちもこわい。


一緒にいる人には、虫もゾンビも幽霊も怖くも無いし、見たこともないよって人がいい。私も最近はなんにもみないけど、クソ田舎の実家に暮らしていた時には、色々怖い思いをしていた。多分、あの場所に問題があるんだと思うけど。


あのお家で怖い思いをしていたのは私と母と兄だった。特に階段が怖くて仕方なかった。新しくて、階段にもしっかり明かりのあるお家だったのだけど、ともかく怖かった。夕方から夜にかけて、怖かったな。いつも怯えつつ駆け上がっていた。

気を抜いて、ぼんやり階段を降りていると、声が聞こえた。数人が大事そうな話を相談しているような声。何を言っているのかまでは聞き取れない。階下の家族だと思って駆け下りると、ボリュームを、最小限に落として母が1人テレビを見ていた。


母もよく声を聞いたらしい。いつも誰かが相談事をしているような声だった。男女もわからないな。たまによく眠れなかった。金縛りにあったり、人の歩く音とか。ともかく夜が怖くて、カーテンの隙間からのぞく夜が本当に嫌いだった。

自転車を置いてる場所も嫌いだった。いつも怖かった。

1人で夜中リビングにいてしまうと、やっぱりこわかった。テレビの音量が勝手に変わったり、クーラーが勝手に着いたりした。


そんなこともお家を離れてから、一度もなくなった。実はわたしってもしかして霊感なんてあるのかもと危惧していたが違った。多分あの場所が悪かったんだなと、今は思う。


母とも話す。あのお家、なんかいたよね。って。子供の頃にも、大人になってからも、あの場所では見たり、聞いたりした。

家を出て本当に良かったと思う。個人的に私は地元愛が全く無いことに、この経験も一役かっている気がする。


誰か一緒じゃないと真っ暗な部屋で眠れないことを考えると、やっぱり元々怖がりなんだろうな。本当は夜、トイレにだって行きたくない。クソ田舎の暗い夜を自転車で帰るのが本当に怖かった。暗い田んぼの際限なく暗い空、なんにも見えないのに見えそうな夜が怖かった。


旅行とかで、田舎の夜道を歩くときは、お化け屋敷に行くよな心構えを持って、誰かと一緒じゃないと歩くこともできない。田舎の夜は暗いし虫もいるし、危険なんだ。


都会の夜は人が多くて、実害があるかもだけど、あのうすら怖さがない。明るいってだけで、楽に歩ける。しばらく私は夜の暗さの怖さを感じずに生きている。

怖く無いって、楽チンだよ、ほんと。


SISTER STRAWBERRY(紙ジャケット仕様)

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